間違えないための輪行講座 〜 輪行資材を考えよう【後編】

それでは後半、「飛行機輪行編」スタートしましょう。長いですが・・
(前編を見ていない方は、まずこちらから先にどうぞ 間違えないための輪行講座〜前編

■パターン3:飛行機を利用する移動が伴う「飛行機輪行」の場合


これが一番の問題です。先述した通り、3A. 国内線の場合3B.国際線の場合の2つについて分けて考える必要があるからです。
その理由は特に日本の航空会社JALやANAについては、国内線と国際線で自転車の運搬に関する規定が違うためです。

飛行機輪行の場合に考えないといけないことは3つあります。

1. 出発空港までどうやって運ぶか

2. 利用する航空会社や路線による受託手荷物の規定と、サイズ超過料金はどうなっているのか

3. 到着先空港から帰路の空港までどうやって運ぶか(現地での移動)


この3点をポイントとして考えるようにしておきましょう。
ではこの3点を踏まえながら国内線の場合と国際線の場合を見て行きますが、その前に飛行機輪行に使うケースやボックスのサイズなどを簡単にまとめてみました。

輪行ボックスやケースのタイプ別サイズと購入費用(目安)
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タイプ別のパッキングサイズはこんな感じです。

 タイプ  製品例  サイズ  製品価格の目安
230cmボックス バイクサンド
BTB輪行箱
バイクポータースマートサイズ
etc.
三辺合計230cm〜250cm程度 紙ダンボール箱4000円程度
BTB輪行箱9400円程度
バイクサンド(カバー付)24000円程度
203cmボックス バイクポーターPro
BTB輪行箱203
三辺合計203cm バイクポーターPro 10000〜12000円
(専用カバーは6000〜7000円)
BTB輪行箱203 21384円(送料込)
ソフトケース オーストリッチOS-500 三辺合計238cm 18000〜20000円程度
ソフトケース
(フレーム入)
シーコンエアロコンフォートプラス 三辺合計250cm程度 50000〜70000円程度
パッドなし輪行袋+緩衝材 オーストリッチなど 三辺合計210cm程度 数千円〜1万円程度(緩衝材は別途)

以上は主な製品で、これ以外にもいろいろな飛行機輪行用バッグやボックスが販売されています。価格もあくまでも現時点での目処です。

飛行機の受託手荷物の規定には、サイズと重量についての規定があり、

「無料で運べるサイズや重量」
      ↓
「超過料金はかかるが運べるサイズや容量」
      ↓
「受託手荷物として運べないサイズや重量=貨物便での運搬になる」

というように3段階あり、利用するフライトの航空会社や機材、路線によって規定が違うので、まず自分の利用しようと考えているエアに関してこの規定を調べる事が最初です。

重量については、一般の方がほとんど使うことのないハードケースのようなケース自体の自重がかなり重たいものを除けばボックスタイプでもソフトケースタイプでもバイク+ケースで20kgもあればラクに収まるので、超過になることはまずありません。問題はサイズです。

サイズについては、飛行機輪行の場合、航空会社ではタテ+ヨコ+高さの三辺の合計寸法によって、規定を決めているので、輪行資材を考えるときには、この三辺合計サイズをまず知ることからスタートです。
ボックスタイプのものは三辺合計が明確ですので、自分でサイズ超過してないかどうかを簡単に判断できます。それに対してソフトケースタイプの場合は、出っ張ってるところがあったりしてどうやって計るのがが微妙ですが、こういうソフトケースタイプや変形タイプのものについては、「それが完全に入るサイズのボックスを想定してその三辺を計る」という考え方で計測されるので、出っ張りがあるものはその出っ張りのために全体サイズが大きくなってしまうため、注意が必要です。
上記表のように、タイプによってサイズが大きく違うとともに購入価格も違います。はじめて飛行機輪行をしようとする方で、どれを選べばいいのか、についてちゃんとした答えを出せる人はほとんどいないでしょう。
せいぜい、どれかを持っているか使っている知人が、勧めてくれたものをよしとして買うか、また各メーカーが自社商品を宣伝するのをよくわからないままに「これがよさそうだ」と買ってしまうくらいかもしれません。
いずれにしてもこの分野に関してのちゃんとしたアドバイスは、ネットを探してもほとんど見た事はありません。だから私が書く事にしたのですが・・・。
では国内線と国際線それぞれについて考えていきましょう。

<国内線の場合>

たとえば東京から北海道や九州、沖縄のような電車輪行には向かないところでのライドに行く場合を考えてみましょう。
この場合は2つ方法が考えられます。1つの先述の輪行タグを使ってバイクを往復ヤマト便で送る方法です。日本国内であればこの方法が使えるからです。
この方法のメリットは自宅から出発空港までの往復と到着空港から宿泊先までの往復を自分で運ばなくていいことが最大のメリットです。往復の運送費(片道料金で北海道で約4,000円、関西で約2,500円、九州で3〜4,000円、沖縄で約7,000円程度)はかかるものの、この身軽さは捨てがたいのも事実です。ただし、この方法の場合、バイク運搬に2〜3日見ておかないといけないなど、時間的には自分で運ぶ方法よりも時間がかかるし、到着確実性の点でも「自分で持っていく」ことと比べれば、やや劣ります。

もう一つの方法は、自分が持って行く方法、すなわち「飛行機輪行」です。
この場合、自分の乗るフライトに受託手荷物としてバイクを預け、自分と同時にバイクも運ばれるので、「自分が現地到着に到着したけどバイクが届かなかった」という事態も起こりえないので、その点では運送手配よりも安心です。JALやANAの国内線については、現時点では輪行用ボックス(サイズは203cmでも230cmでも)、OS-500やシーコンエアロコンフォートなどのソフトケースのいずれでも超過料金なしで運べるので、飛行機区間の運搬費用はかかりません。


その点では、「国内線で運ぶことだけを考えればどのタイプの輪行方法・資材でもOK」ということになります。
ではどのタイプをチョイスすればいいのでしょうか。それは「フライト区間の前後の移動をどうするか」によって変わってくるので、次にその点を考えないといけません。

自宅から出発空港までのアクセスがマイカー、タクシー、電車、エアポートリムジンなど、どの手段を使うのかによって、それに適したタイプがあるからです。たとえばエアポートリムジンの場合は、OS-500であればバス下部の荷物室にバッグを横に倒して搭載してくれます。(事前予約などなしで、よほど混んでなければ大丈夫です)
しかし、横にすることを前提として作っていないシーコンエアロコンフォートの場合には、エアポートリムジンに積んでいくのは無理でしょう。タクシーの場合も後部座席にOS-500であればなんとか入るので、自分は助手席に座ればバイクを持ち運ぶことができますが、シーコンやボックスタイプのものは無理です。
また電車で行く場合も、せいぜいOS-500か203サイズのボックスにショルダーベルトのついたカバーを付ければなんとかなるかもしれませんが、それ以外はまず無理だと思ってください。
マイカーであればワゴンやワンボックスならなんでも大丈夫ですが、セダンの場合はタクシー同様となります。
230サイズのボックスやシーコンなどを出発空港まで送る、という手もありますが、例えば関東地域内の自宅から成田か羽田の空港までABC宅配サービスでバイクを送ると、その費用が3,550円もかかってしまいます。そこまで運送費用をかけるのでしたら、輪行タグで現地ホテルまで送ってしまうほうが遥かにラクですし、そうなるとOS-500や203サイズのボックス以外は、実はフライト前後の運搬面での制約が大きいというか不自由、ということに気付きます。

現地空港からの移動についてはレンタカーを使う、という方法がありますが、これについてもパッキングタイプによって、必要な車のサイズが変わってきますし、複数人で一緒に行動する場合には、それぞれのパッキングの状態によっては複数台の車に分乗しないといけないなどということも起こりますので、とにかくサイズが小さければ小さいほど、有利になり、大きければ大きい程、不便さや費用面でも不利になっていくのです。

たとえば2人で飛行機輪行でライドに行くとします。二人ともOS-500であれば、レンタカーの一番安いクラスのフィットやビッツなどのコンパクトカーでも後部座席を倒してしまえば2台横積みなら入りますが、そのうち1人もしくは2人がシーコンや230サイズのボックスの場合は、もうこのサイズのレンタカーでは無理で、ステーションワゴンクラスか、ミニバンやSUVやワンボックスでないと運べません。(横にできないシーコンはワンボックスじゃないとダメかもしれません)
レンタカーのサイズが大きくなることくらい、どうってことはない、というのであれば別にかまいませんが、特に複数人で移動する場合は、自分だけ大きなサイズのものにすると、他の人にも迷惑がかかる可能性がある、ということを認識しておくことが必要なのです。

ではどうして大きいサイズのタイプを選択する方が後を絶たないのでしょうか。

「バイクを破損などから守り、安全に運ぶこと」が、飛行機輪行での最大のポイントになるのは間違いありませんが、どのサイズやスタイルなら絶対安全で、どのスタイルならかなりリスキーというような差は実際にはほとんどありません。大きいもの程安全で、小さいサイズやソフトケースはだめ、ということはないのです。
何もわからない方だと、不安に駆られて「とにかく安全性」ということで、いたずらに安全性だけを誇張して販売しているケースやボックスのメーカーの宣伝に乗ってしまいがちですが、今一度総合的に判断してタイプを選ぶことをおすすめします。特に海外でのライドをこの先に考えられている方であればなおさらです。
またシーコンエアロコンフォートのようにキャスターでの移動やパッキングの楽さをメインに考えてチョイスしてしまう人も多いですが、正直シーコンほど厄介で、移動その他で不自由なものはありません。

「どうして?シーコン評判いいんだけど」と思う方は「限定された使い方をする限りはシーコンでも問題ないので、シーコンを評価する方はそういう方。」ということを頭に置いておきましょう。

それからシーコンのことを書いたので、ついでに「キャスター」のことも書いておきます。
実際に飛行機輪行を経験していない方だと、「移動の時に重たいバイクを担がないでいいからキャスターがあるほうが便利でラク」と考えてしまいがちですが、キャスターが役立つのは自宅から出発空港までと、到着空港から現地移動の間を、車移動ではなく電車移動でバイクを自分で持って行く場合だけだと思ったほうがいいでしょう。
出発空港まで車で持って行く場合や、宅配で空港に送る場合などは、キャスターの活躍する出番はほとんどありません。空港内では無料のカートがどこでも大体ありますので、それに載せてしまえばいいですし。


ということで、あればよさそうだけど実はなくてもあまり困らないものなのです。キャスターというのは・・・
こういうのも自分でいろいろと体験していかないとわからないことなのですが。

<国際線の場合>

国際線の場合には、最も重要なポイントは何だと思いますか?
「安全に運べるかどうか」でしょうか?
それとも「超過料金がかかるかどうか」でしょうか?
もちろんこの2点も大事ですが、何よりも大事なことはこれらではなく、まず「自分の乗るフライトに受託手荷物としてバイクを預けることができるのか=自分と一緒にバイクを目的地まで運べるのか」 という点が最重要ポイントになるのです。

日本からの国際線は大型の機材を使っているので、まず問題にはなりませんが、渡航先の国内でのローカルエアに乗る場合には機材の小さなエアだったりすると自転車の搭載がサイズ制限されてしまうことがあるからです。
そんなローカルエアには乗らない、という方は別ですが、たとえばアメリカ国内でのローカルエアで有名なSouthwestエアラインなどは、三辺合計80インチ(203cm)以内でないと自分のフライトでは運べません。
超過料金は三辺合計62インチ(158cm)以上だとオーバーサイズ料金が発生してしまうので、これは避けられないのですが、たとえば三辺合計203cm以上のシーコンやOS-500、230cmサイズのボックスなどは、超過料金云々ではなく別の貨物便でしか運べないのです。

アメリカのような広大な国では国内移動でもフライトでの移動が当たり前です。日本からの直行便のない地に行くには、この点気をつけないといけないのです。
またこのSouthwestと同じ規定があるのがHawaiian Airのハワイ諸島間のフライトです。ハワイでのライドということでオアフ島でのセンチュリーライドに出るだけなら問題はないのですが、マウイ島、カウアイ島、ハワイ島などのネイバーアイランドでライドをしようとしたら、Hawaiian Airで移動するしかないので、「三辺合計203cm以上のものは、全部使えない」ということになってしまうのです。

世界的な受託手荷物の規定としては三辺合計62インチ(158cm)までは無料サイズ枠、というのが一般的なので、バイクの場合は、小径のフォールディングバイクでもない限りはこのサイズに収めることはフレームが分割できない限りは不可能で、このサイズを超える事で超過料金がかかるエアに乗る場合は、超過料金をあきらめないといけないのですが、この62インチの上にあるのが、80インチ(203cm)サイズという規定があり、先ほどの小さな機材のフライトでの受託可能サイズの限界になることが多いのと同時に、日本人が最も多く利用することになるJALやANAの国際線に限っては、この203cmサイズが超過料金のかからないバイク運搬サイズの上限となっているのです。

もちろん、「この203cmまで無料」という日系航空会社の国際線での規定は、今後もずっと続く保証はなく、いつ海外のエアと同様に「158cm以上は有料」、となってしまうかもしれませんが、少なくとも2013年にはこのサイズの上限規定になっているので、2015年11月現在で、もう2年以上この規定が続いていることになります。

ですから、JALやANAを使えば203cmボックスなら無料で運べるが、三辺合計203cm以上のシーコンやOS-500、230cmサイズのボックスなどは、たとえばアメリカへの往復などの場合片道200ドル(往復400ドル)程度の超過料金がかるというのが現時点での真実です。(一般的な旅客の場合で、そのエアの特典メンバーなどで受託手荷物の規定について特別扱いを受けれる場合は別ですが。)
これをちゃんと理解していないといけません。

海外ライドなんて一生に何度もすることはないのだから、往復400ドル(5万円)くらいしかたない、と思える方は、ご自由にしていただければいいのですが、多くの一般の方は203cmサイズのボックスなら無料ならば、そのサイズにしたい、と思うのではないでしょうか。

longridefan.comのツアーでは現在では203cmサイズのボックス以外での参加は受け入れていません。
203cmサイズでも全然問題なく安全に運ぶことができることがわかっているから、というのがその一つの理由です。このサイズで収めるためのバイクの梱包方法を学ぶことは、海外輪行に必要なスキルであり、それを覚えてもらえばいいだけで、ちゃんと梱包できない方を甘やかし、大きいサイズを使わせることは意味がないからです。

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写真はツアー時の参加者達の203cmボックス(自作もあれば、段ボールやプラダンのオーダー製作もあり、バイクポーターProもありと多彩)。230cmサイズよりもコンパクトに詰めるために、バイクの分解や梱包のノウハウは必要になりますが、それくらいは自分でできるようになるべきです。ショップとかツアーのサポートスタッフに頼んでやってもらうのではなく。

私も含めて何回も203cmサイズのボックスでの輪行をツアーメンバーにはしてもらっていますが、機材が壊れたことは1件もありませんでした。(もちろん絶対に安全だと保障するわけではないのは230cmサイズでも同じです。)
またここ数年、うちのハワイツアーはネイバーアイランドでのライドをツアーに組み込んでいるので、203cmサイズでないと運べないから、というのも理由のひとつです。

そして最後の理由が、海外での現地についたあとの移動に使うレンタカーの都合によるものです。最初に挙げた「飛行機輪行を考える上での3つのポイント」の3番目がこれにあたります。

実際に海外ライドをしたことがある、という方でも、ほとんどがライドツアーに参加しての海外ライド経験なので、ポイントの1と2については考えたことはあっても、ポイント3の「現地移動」関しては旅行会社任せで、大体空港からは旅行会社の用意したトラックなどで運んでもらえるので、自分で考えたことがある方はすごく少ないと思います。
しかし、個人旅行やグループ旅行での海外ライドの場合には、この3も大事なポイントになるのです。

longridefan.comのツアーの場合、参加人数によってはバイク運搬用に引っ越しトラックをレンタルしてトラックにバイクや荷物をまとめて搭載するようにしていますので、その場合であれば203cmでなくても運搬できますが、人数によってはトラックを使わずに、4人ごとにミニバンを1台レンタルして人とバイクや荷物を運ぶ場合があります。

アメリカやハワイで借りれる一般的なミニバン、Dodge Grand CaravanとかChrysler Town &Countryとかの車種の場合、三列シートの3列目を床下にしまえば、203cmサイズのボックスがちょうど4台後部に搭載できるのです。1列目と2列目あわせて4人が座り、2列目の左右の間に機内持ち込み可能サイズのスーツケースを4つ重ね積みすれば、4人4台がジャストサイズでギリギリ収まるのです。
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写真はミニバンの3列目を倒して203cmボックスを入れたところ。実はこの203サイズのボックス、もうひとつ大きなメリットがあります。それはボックスをつぶした状態にすると、ちょうどこのミニバンのフロアにぴったり入るので、現地での滞在中に移動&ライドを楽しむときにはボックスをつぶして下に敷くようにすればバイクの搭載も楽にできるのです。(ただし、203cmボックスに入れてきたバイク以外の荷物を入れるトートバッグなどは用意しておく必要がありますが)

これが230サイズのボックスとかシーコンとかが1台でも混ざってしまうと、3台しかミニバン1台に積む事ができなくなり、車の手配台数(+ドライバーの人数)がかわり、それが現地での移動コストの差を生んでいく(=効率が悪くなっていく)ことになるのです。
そのため、longridefan.comの海外ライドツアーでは、原則「203サイズのボックス限定+機内持ち込み可能サイズのスーツケース1個に荷物を収めてもらう」というのを参加者に守っていただくようにしています。(大型機材のエアだけ+引っ越しトラックでの荷物運搬だけで済む場合はサイズ規定を緩める事はありますが・・。)

話をフライトの件に戻しますが、世界のエアの中には、チャイナエアやタイ航空などのように、「スポーツサイクルであれば、ホイールを外して専用の資材で安全に梱包してあればサイズが大きくなっても無料で運んでくれる」というひと昔前の規定を今日も持続しているエアもいくつかありますので、そういうエアを利用するのであれば203cmサイズにこだわる必要はありません。
またJALのように、203cm以上は超過料金がかかる規定になっていながら、ホノルルセンチュリーライドやホノルルトライアスロンなどの特別に認めたイベントの時だけは、事前申請すれば230cmサイズでも無料で運ぶ、という特例を設けている場合もあります。

ただしこういう一部のエアを除けば、日本人が一般的に国際線で利用することが多いJALやANAが203cmサイズ規定を設けている間は、わざわざ余計な超過料金を何万円も払わずに203cmサイズのボックスを利用して使うようにするのがよっぽど賢い選択だと言わざるを得ません。

またもう2年以上この203cmサイズ規定が続いているにもかかわらず、未だに230cmサイズのボックスなどを製造販売しているメーカーもありますが、残念ながらそういうメーカーは「当社は利用者のバイクを安全に運ぶことだけを考えて製品を作っているのだから、超過料金がかかるかどうかは、こちらの関することではない=安全にバイクを運ぶために超過料金がかかる場合もあることはユーザーには了解してもらっている」という姿勢でいるのです。
しかし問題は、ユーザーが了解しているのではなく、無知なユーザーに全ての情報を正しく与えずに都合のいいように誤摩化しているということです。
「国内ライド用+海外はホノルルセンチュリーライドやホノルルトライアスロン用」というポジショニングで230サイズのボックスを販売するのならまだわかりますが、この230cmサイズで「海外ライドにどんどん出て行こう!」的なマーケティングはやめてほしいですね。

こういうメーカーの姿勢の本質に気付かずに、成田などの空港で、はじめて超過料金がかかることを聞かされて、やむなくその場で超過料金を払わされている方を見るたびに、あまりにも不誠実なマーケティングだと思わざるを得ないのです。
製品のサイトのFAQページに超過料金がかかる場合があることを小さく記載してあります。と言えばいいと思っている姿勢に疑問を感じぜずにはいられません。

203cmサイズのボックスであればオールマイティーでいけるのに、こういうことを知らないが故に、うちの海外ライドツアーに初参加して、輪行ボックスサイズ制限のことを告げられて「去年シーコン買ったばっかりなのにダメなんですね」と残念がる参加者の方には、申し訳ないのですが、改めて203cmサイズのボックスを買ってもらっています。

そうすればJALやANAで超過料金5万円近く払わされるよりも、203cmのボックスを紙ダンボールなら送料込みで5000円以下でオーダー製作できますし、プラダンボールでも数がまとまれば1万円以内で安くオーダー製作できます。もちろんバイクポーターProを買うとか、203サイズの箱を、自転車屋から無料でもらってきたバイクの箱をリサイズして作れば費用もかかりませんが、いづれにしてもサイズ超過料金を往復5万円近く払わされるよりも遥かにいいからです。

ですので、これからどんどんライドのフィールドを拡げて、ホノルルセンチュリーライドだけではなく、海外でのライドをいろいろしていこうと思っている方であれば、今から海外輪行用にボックスやケースを購入するなら、203cmサイズのボックスにすることを強くおすすめします。
競技選手やバイク関連のタレントさんのように、荷物超過料金はもちろん、ツアー代金までも自腹を切らないでいいような方が、でかいサイズのボックスなどを使っているからと言って、あなたがそれを真似ることは意味がありません。

全員が有無を言われずに超過料金がかかってしまうような状況の場合はやむを得ません。しかし、203cmサイズのボックスの方は無料で、230cmボックスやシーコンやOS-500などを買ってしまったあなただけはプラス50,000円余計にかかってしまうとしたら、それでもあなたは203cmサイズを使わずに超過料金を払いたいですか?
金に糸目をつけない方以外は、203cm以外のサイズのものを買う必然性やメリットが全く見いだせない
これが現時点での私の結論です。

いずれあと何年かすれば、JALやANAも欧米系のエアのように「62インチ(158cm)以上は超過料金が必要」というサービス改悪をしてくるかもしれません。
そうなってしまえば現在の203cmボックスの優位性も低下してしまいますが、Hawaiian Airなどの機材の小さいローカルエアでの上限サイズがかわらない以上は、203cmボックスを使っていくしかありません。サービス改悪がされないことを願いながら・・

最後に忘れてはいけない大事なポイントをひとつ。
航空会社は受託手荷物の規定をけっこう変えるため、去年はOKだったことが翌年にはダメになるというのもザラにあります。自分の利用するエアのサイトはこまめにチェックしておきましょう。
予約発券前にカスタマーサービスなどでバイクに関する超過料金規定について問い合わせ確認し、それが明記されているサイトのページなどをちゃんと確認し、できればプリントして空港のチェックイン時に念のために持って行くようにすれば完璧です。空港での無知な係員とのトラブルをさけるために。。

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写真は急な230cmが急に有料となり、203cm規定もなかった当時にあみ出した苦肉の策。230cmボックスを2個張り合わせて1つの箱にして、2台のバイクを入れ、超過料金を半額で済ませた2012年夏のもの。(1つの箱にバイク2台までOKという規定を逆手にとったもの。なつかしいですね。しかしいずれJALやANAの203cm規定がなくなり158cm以上で有料になる時代がきてしまったら、203cmボックスの2個連結技がまた役に立つようになるかもしれません。そうならないでほしいですが・・)

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海外輪行に関しては昔は多くのエアがサイズ規定も特に設けなく「前後輪を外して専用のケースやボックスに入れてあれば無料」というのが主流の時代がありました。
ところが年々経営が厳しくなってくるとなんとかして旅客から金をふんだくるように受託手荷物の規定をどんどん改悪しだしました。規定ではOKなのに空港のチェックイン時には超過費用を払えと言われ、私のように断固として断る方ばかりではなく、泣く泣く払わされている方がいたことも聞いています。

受託手荷物の規定、特にスポーツ用品や自転車などのサイズ超過に関する規定は、グレーゾーンとして曖昧な状況があり、チェックインカウンターなどの現場スタッフがちゃんと規定を理解していることのほうがむしろ少ない、という問題視されるべき状況が続いたこともありました。往路では無料でちゃんと預けれたのに復路のアメリカの空港では200ドル払えと言われて、散々押し問答して最後まで払わずに押し通し、ギリギリの時間で、最後の搭乗者になったこともあります。

ですが、私は「払わなくてもいい費用は1円たりとも払わない」という姿勢を貫いてきて、色々な経験を通して現在のうちのツアーの荷物に関するレギュレーションを作ったのです。
少なくとも海外用の輪行ボックスを作っているメーカーの方より、遥かにユーザーとして海外輪行を経験して、実体験から考えているのです。
あとはこのアドバイスをどう受け取るかはあなた次第です。

全部を知ってそれでも230cmサイズをチョイスするのであれば、それを否定するつもりは全くありません。シーコンを買うのもいいでしょう。ただし買う前に、この記事に書いてあるようにいろいろなことをちゃんと知ってから買う、ということが大事だと考え、ペンをとることにした次第です。

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以上、前後編に渡って輪行をタイプ別に分類し、最適な資材について考察してきました。

輪行については各交通機関の対応いかんで状況が変わってくるので、状況の変化に対応して輪行スタイルも変わっていかざるを得ないのですが、輪行することで、あなたのサイクルライフは大きくフィールドを拡げることができるのです。

すばらしい絶景やライド体験があなたを待っています。
どんどん輪行を楽しんでライドのフィールドを拡げていきましょう。



<あとがき>
今回は海外飛行機輪行に関してビギナーの方が間違わないために、ちゃんと事実を知ってもらおうと思ったのが発端で、それだけだと片手落ちなので電車輪行も含めて総合的に書くことにしました。電車輪行であれば、私よりもはるかに経験も豊富でノウハウもあり、一家言持っている方も多いとは思いますが、海外輪行まで含めて、トータルで書ける方はほとんどいないだろうと思いますので、その点で総合的な情報としての価値はあると思います。

他の方でも書くような「わかりやすい輪行ノウハウ」を書こうというつもりは毛頭もなく、むしろ他の人が書かないだろう、という内容・ポイントにフォーカスして書いたものです。文字だらけで読みづらいものになっていると思いますが、ここにしかない貴重な情報がいろいろ入っているので、ぜひ何かの機会に読み返していただければ幸いです。

自分でも読み返してみると、いつものことながらセンテンスが長いし文章の言い回しがくどくて読みづらいとは思いますが、そのへんはまあご容赦ください。・・・ by 4126 (^_^;)

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